この記事はironSource USの戦略的パートナーシップ部長であるDor Birnboim氏がAdExchangerに寄稿したものです。
アトリビューションは、最も質の高いユーザーを獲得するために、ユーザー獲得キャンペーンをスケールおよび最適化する鍵の1つです。ですが、アトリビューションに関してあらゆるチャネルに適用できる万能なものは存在しません。
多くのアプリでは、7日間のアトリビューションウィンドウ - つまり、特定のメディアパートナーからのクリックやインプレッションがインストールに繋がっていると主張できる期間が設定されています。0日目などきわめて短時間の内にエンゲージメントを提供することにフォーカスしたマーケティングチャンネルの場合、これは推奨されるアプローチです。
しかし、いくつかのケースでは、広告主は30日間、もしくはそれ以上のアトリビューションウィンドウを検討すべきです。
これは、とりわけ広告が本来のデバイス体験に統合されている「オンデバイス」キャンペーン、つまり電気通信事業者やデバイスメーカーへ直接配信する広告を実施している広告主に当てはまります。
ここでは、これらのチャンネルで長いアトリビューションウィンドウが有効な理由をご紹介します。
アトリビューションウィンドの延長は異なるユーザー動向それぞれに対応できる
ソーシャルやディスプレイチャンネルでは、スクロールしながら広告をクリックして、アプリをダウンロードするためにPlay StoreやApp Storeにアクセスするユーザーは、一般的にそのアプリをすぐに開こうとするインテントを持っています。
初めてアプリを開く際、計測ツールのロジックが作用し、その「インストール」を最後にエンゲージしたチャンネルに紐付けます。こうした場合は7日間のアトリビューションウィンドウで問題ありません。
しかし、オンデバイスキャンペーン経由で発生するアプリインストールの大半は、デバイスの初回起動時に発生しおり、ユーザーは新しくインストールしたアプリをすぐには開きません。更に、キャリアのチャンネル経由でインストールする場合、一般的にユーザーは同時に複数のアプリをインストールします。広告枠が1つのアプリしか訴求しないソーシャルチャンネルとディスプレイチャンネルの広告とは対照的です。
これらの要素が組み合わさることで、アプリの初回起動までに(またはコンバージョンまでに)時間がかかります。なぜなら、ユーザーは後で使うためにインストールしているからです。結果として、最初の7日間に発生しているアプリインストール(初回起動)はアプリダウンロードに対して僅か53%しかありません。
例えば、旅行予約アプリを考えてみましょう。恐らく、新規購入したデバイスを設定するオンボーディングの過程で、アプリをダウンロードしたユーザーが、すぐに旅行を予約することはないはずです。これは、ユーザーに特定の旅行先の広告を配信し、その場で予約させるためにクリックを訴求するソーシャルメディアキャンペーンとは対照的です。
しかし、デバイス購入後の数ヶ月間には旅行を予約するときが訪れ、そのユーザーが初めてそのアプリを開く見込みが大いにあります。その後、初めてコンバージョンがオンデバイスのキャンペーンに紐付けられますが、それを計測するにはラストクリックのアトリビューションウィンドウが十分に長い必要があります。
7日間のアトリビューションウィンドウで計測していた場合、インストール大部分が適切に計測されないため、広告費用の回収率(ROAS)などの重要なデータを正確に計測することができなくなってしまいます。
オンデバイスチャンネルでは、30日間、もしくはそれ以上のアトリビューションウィンドウが推奨されます。なぜなら、広告主がキャンペーンから発生するすべてのインストールを正確に計測し、真のパフォーマンスを理解することが可能になるからです。
加えて、アトリビューションウィンドウが短いと、ユーザーがアプリ内課金をした際に、広告主はこのユーザーをソースチャンネル経由として計測することはできません。実際は、オーガニックユーザーとして不正確に扱われてしまいます。結論としては、7日間のアトリビューションウィンドウを設定した場合、オンデバイスチャンネルの真の価値を理解することはできず、パフォーマンスの高いキャンペーンをスケールする機会を逃すことになってしまいます。
アトリビューションウィンドウの延長でスケールを最大化
オンデバイスチャンネルで30日間以上のアトリビューションウィンドウを設定することで、正確な計測データ以上のものも同時に得ることができます。それは、キャンペーンスケールの最大化です。
なぜなら、オンデバイスチャネル用の一般的なウォーターフォールは、最も高いeCPMのキャンペーンを優先的に表示するからです。そのキャンペーン経由として計測されるコンバージョンやインストールが増えれば増えるほど、eCPMも高くなります。オンデバイスチャネルに30日間以上のアトリビューションウィンドウを設定することは、アプリの初回起動が遅れることから生ずるロングテール現象で知られていますが、より多くのインストールが各キャンペーン経由として計測されることになります。
オンデバイスチャネルに30日間以上のアトリビューションウィンドウを設定することは、アプリの初回起動が遅れることから生ずるロングテール現象で知られていますが、より多くのインストールが各キャンペーン経由として計測されることになります。
その代わり、キャンペーンのeCPMが向上し、結果としてウォーターフォール内の優先順位も改善します。つまり、短いアトリビューションウィンドウによって計測されたキャンペーンと比較して、大きなスケールと高い効率性が実現されることになります。その結果、キャンペーンに予算を追加しなくても、効率的な獲得単価と健全なスケールの達成が保証されます。
収益性への適応性
オンデバイスチャネルへの広告配信には、モバイル広告主にとって強力なチャネルになれるポテンシャルがありますが、その独特な特徴を理解して、それに合わせてユーザー獲得戦略を最適化することが鍵になります。アトリビューションウィンドウを延長することによって、オンデバイスキャンペーンを成功させる舞台を整え、アプリのグロースをスケールさせることができるでしょう。