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10年ほど前、アプリストアが誕生して間もない頃は広告主はアプリ内広告がモバイルウェブを凌駕する規模にまで発展するとは思いもしませんでした。当時と比べ、今日のモバイルアプリ市場は大きく変化しています。

アプリ内広告市場の成長を後押しした要因の一つは、モバイルゲームです。全世界でユーザー数は25億人以上にのぼり、SNS、ショッピングに次ぐ第3位の人気ジャンルとなっています。アプリ内における広告ユニットの進化の結果、広告のエンゲージメントと引き換えにゲーム内リワードをユーザーへ付与するユーザー主導型の広告ユニットが生まれました。その結果広告は、ユーザー体験を阻害するという既成概念から、リワードを期待するユーザーから求められるものになりました。

アプリ内課金モデルを採用するゲームで一般的な広告ユニットの代表例として、オファーウォールが挙げられます。アプリのインストール、アンケートの回答、会員登録といった成果地点が設けられた広告を一覧表示したゲーム内ストアのような機能で、広告案件ごとの成果を達成することにより、ユーザーはゲーム内通貨を獲得することができます。お金ではなく、時間を投資することでプレミアムなコンテンツを楽しみたいユーザーの間で人気を集めています。

ゲームデベロッパーは、この仕組みを通じて、リテンションの向上や費用対効果の合わないユーザーへのエンゲージメントを高め収益化することができます。ときには、非課金ユーザーを課金ユーザーへ転換させるきっかけにもなります。また、広告主にとってのメリットも多数におよびます。

オファーウォールの利点

広告主にとってのオファーウォールの利点は主に3つあります。以下にそれぞれの利点をご紹介します。

費用対効果の良いユーザー獲得のスケール
他の広告モデルと異なり、オファーウォールではインストールではなく、ゲームまたはアプリ内における特定のアクションに対して広告費用が発生します。CPE(Cost per Engagement)と総称されるこの広告モデルでは、得られた成果に対して費用が発生するので、ユーザーによる自社ブランドへの有意義なインタラクションを得ることができます。つまり、広告主はキャンペーンの成果とユーザー規模を効率的に拡大させることができるのです。

優良ユーザーを獲得
オファーウォールはその特性上、優良ユーザーを獲得しやすい枠組みです。まずそれらのユーザーは、その他のオファーを合わせて吟味した上で特定のオファーを意識的かつ積極的に選択しています。またユーザーは報酬を得るために、15分から場合によっては数週間に相当する時間を割くことになります。このような手順を踏んで獲得したユーザーはエンゲージメントが高く、長期的なリテンションにつながる可能性が高いと言えるでしょう。

ユーザー接点の多様化
ゲーム内広告の多くは、本格的なアプリ内課金のエコシステムを導入していないカジュアルゲームやハイパーカジュアルゲームへ配信されています。ところがオファーウォールであれば、インタースティシャル広告または動画リワード広告の導入には積極的でないミッドコアゲーム上にも広告を表示させることができます。つまり本格的なゲームに興じるエンゲージメントの高いユーザーに向けてユーザー獲得キャンペーンを展開することで、新規で多様かつ良質なユーザーを獲得できる可能性が一気に高まるのです。

獲得規模と収益性をスケールさせる3つのポイント

オファーウォール上に広告を配信する際に留意すべき点が3つあります。

データを活用して適切なCPEイベントを策定
オファーウォールへの広告出稿の際に、設定するCPEイベントは、成果までにかかる労力と獲得できる報酬のバランスについて熟慮されたものでなければなりません。深い成果地点に対して少なすぎる報酬はオファー達成率低下を招き、反対に浅い成果地点に対して多すぎる報酬は、そのユーザーとのより深いエンゲージメントの機会を逃してしまっているとも言えます。

そこで成果地点の異なる複数のCPEキャンペーンを同時に出稿することをお勧めします。どのようなイベント設定をすれば、ユーザー規模を拡大しながら1ユーザーあたりの平均的売り上げ(ARPU)を増やしていくことができるかを見出すために有効です。

イベントごとにROAS目標を調整
CPEキャンペーンを出稿する際の最終的な目的は、広告投資の回収です。そこでまずは特定のイベントや成果地点におけるROAS目標の適切な設定方法を理解する必要があります。一般的には、成果地点によって異なるLTV曲線に応じてROAS目標を設定します。異なる成果地点のCPEキャンペーンを出稿している広告主は、各成果地点がROASにどのような影響をもたらしているかをきちんと把握した上で、ROAS目標を最適化していく必要があります。成果地点の深いCPEキャンペーンにおいて、出稿単価を上げればトラフィックの増加とともに収益拡大の余地が大きくなります。逆に成果地点が浅いキャンペーンの出稿単価へを下げれば、利益率が高くなります。

期間限定プロモーション期間中は入札額を上乗せ
クリスマスや正月といった主要な祝日期間前になると、オファーウォール枠を提供するアドネットワークが特別なプロモーション施策の実施を呼び掛けるのが通例となっています。祝日期間におけるトラフィックの自然増に加えて、プロモーション施策による期間限定の高い報酬設定により、ユーザーのエンゲージメントを高めるには絶好の機会です。このプロモーション期間に出稿単価を高めに設定し、オファーウォール内の上位に自社のオファー内容が表示されるようにしましょう。

Lilith Gamesによるオファーウォール活用事例

中国の大手ゲームデベロッパー及びパブリッシャーであるLilith Games社は、同社タイトルのRise of Kingdomsをプロモーションする際にオファーウォールを活用しました。その目的は、クオリティの高いユーザーを大量に獲得できる費用対効果の安定したチャンネルの確保です。まずは成果地点の浅いキャンペーンで出稿しはじめ、深め成果地点のキャンペーンを実験的に実施して、ROIの最大化に影響のある成果地点を検証しました。

同社が大きな成功を収めたのが、昨年の感謝祭期間中のクレジット倍増プロモーションを実施している媒体へ出稿したことです。このCPEキャンペーンの実施に先立って出稿単価を上げたことで、獲得ユーザー数は4倍にまで拡大しました。

ゲーム内広告は過小評価される傾向にありますが、実際のところユーザーのエンゲージメントを勝ち得るには理想的な広告ユニットです。報酬を得るためにユーザーが感情的及び時間的な投資をするという仕組みには他の広告ユニットにない独特の魅力があります。とりわけ非ゲームの広告主にとっては、理想的なユーザー獲得チャンネルであると言えるでしょう。

Let's put these tips to good use

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